遭難の自覚

先日、なかなか到着しない方を迎えに行くことがありました。

しっかりと踏み固まっていない登山道では5歩進むうちに1度は転倒してしまい、倒れても直ぐには立ち上がれなかったのです。

この状態を見れば小屋まで30分ほどの位置から3時間かけても到着しないことに納得はできるのですが、どのような事情があったか知りませんがこの方を一人残して先に下山してしまった同行者の行動は理解できません。

ヒュッテからの朝陽 Photo by Kenji Shimadate

ヒュッテからの朝陽

同行の方には17時の時点で連絡を取り「警察へ救助要請を出してくれ」とお願いをしたのですが、そうしてはいただけなかったのです。

そのまま時間ばかりが過ぎ、吹雪になった18時に到着しない方の様子見に向かう決断をしました。

小屋を出て15分後には到着しない方と合流し、手助けが必要と判断できたため警察への救助要請をするようお願いをしたのですが、この方も救助要請を出す気が無かったのです。

暗闇の吹雪の中で普通の方が5分で登る距離を1時間以上かけているにもかかわらず、遭難している自覚が無く救助を求めてもいなかったので生存と所在地の確認をしただけで帰ってしまっても問題はなかったのですが、現状を見てしまえば見て見ぬふりをすることができず、結果的には転倒しないように後ろから腰を押し上げるように支える支援をすることになったのです。(警察からの出動要請が出されていない状況下ではすべての事が自己責任となり、怪我をしたり死亡しても何の補償も受けられません)

小屋付近の様子(1月12日撮影) Photo by Kenji Shimadate

小屋付近の様子(1月12日撮影)

救助を求めていない人を1時間以上も支援するお節介的な行動が馬鹿馬鹿しく思えて気が滅入ってはいましたが、山小屋に宿泊していた医師の方が好きなお酒を控えて待機されていたその善意に私の心は救われました。

夜間の救助活動は原則として行わないことになっているので、日没後に警察へ救助要請が出されても民間の救助隊員に単独での出動要請はまず出されないでしょう。

しかし、今回のように山小屋の近くでビバーグさせるよりも山小屋に収容した方が安全という判断が下されれば出動要請となった可能性もありました。

何らかの事情でビバーグもできず、自力での下山や山小屋への到着が困難であるのならば遭難しているという自覚を持っていただき、速やかに救助要請を行っていただきたいものです。

厳寒の冬山では救助要請のためらいが命取りとなってしまうのです。

ただ、そうなる前に安全な山歩きができるように装備を整え、深雪のラッセルやルート探し等に対処できる時間を含めたゆとりある登山計画を立てなければなりません。

冬山の何が危険かということを理解せずに入山したり、15時頃に北横岳へ向けて山頂駅を出発するようなことも論外です。

ハッキリ言ってしまうと安全を意識しないような方を救出することほど馬鹿げたことはありません。

装備不足と無理な計画を立てる入山者が増加している現状に頭を悩ませている小屋主ではありますが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

※日没時間が早いので早着を心掛けてください。

※スノーシューは登山道上でお楽しみください。現在の積雪量で登山道以外へ立ち入ると植生破壊となります。

※アイゼンやスノーシューを装着したまま建物内へは入らないでください。

【山のようす 1月12日現在】

ヒュッテのある標高2400mの最近の気温は、最低が-22℃~-15℃、最高は-15℃~-12℃です。

暖気が入り気温が上昇することもありますが、装備等は寒い方へ対応できるものをご用意ください。

現在の積雪量は平均で約60㎝、吹き溜まりは150㎝以上となっています。

北横岳以北へのトレースはないものとお考えください。

山の最新情報や装備についての問い合わせは現地電話(090-3140-9702)へお尋ねください。

【予約状況 1月12日現在】

1月13日は満室となりました。

1月18,23日は都合により宿泊できません。

宿泊予約の無い日は閉館しているのでご注意ください。

定員制と予約人数に合わせて食材を買出しして背負い上げているので宿泊される方は必ず予約してからお越しください。

当ヒュッテは定員制です。相部屋が基本で個室ではありません。満室時の就寝スペースは一人一畳となります。

現在の食事の時間は夕食が17時30分頃~19時終了、朝食は7時~8時までとなります。

食事は相席で、おかずを取り分けあって食べるスタイルとなります。

宿泊予約されている方は遅くとも16時までに到着してください。積雪期は15時頃までに到着できる計画を立てるようお願いします。

翌日のお弁当はできません。

また宿泊にあたっては、こちらのページもお読みください。
https://kitayoko.com/information

【登山の注意点】

北横岳が活火山であることに留意されますようお願いいたします。尚、北横岳には噴火に備えてのシェルターやヘルメット等の配備はありません。

山の状況に対して装備不足と思える登山者が目に付きます。特に初心者を連れて来られる方は、必ず装備や力量の確認をしてから入山してください。

登山道の状況が変化しやすい時期です。思いのほか歩行時間がかかることがあるので行程計画は無理のないものにしてください。

夕方以降に大怪我等をされても救助活動は翌朝となります。暗くなってからの行動は昼間よりも危険となるので夕方以降は各自の能力範囲内で行動してください。

疲労や道標の見落とし等により行程計画に対し大幅に遅れてしまうことがあります。
最終目的地には15時までに到着できるような計画であることや、トラブル等へ対処するための予備時間を行程計画に入れ込むことをすすめます。

日帰り登山の方でも登山で必要な最低限の装備を必ず携行してください。(装備不足は命が危険に晒されることになります)

万が一の時に備えての装備だけでなく、経験や知識等が必要となるので初心者だけでの登山は控えるようにお願いします。

個人個人の登山能力や装備等が山の状況にそぐわない場合や体調が優れない時などは、登山計画の変更あるいは中止するなど柔軟に対応してください。

緊急時を除き、指定地にテントを張るのがルールです。指定地以外での幕営は植生破壊となる場合があります。

【お知らせ】

当ヒュッテは昼食の提供をしておりません。また不定休となっているので休憩利用ができないことがあります。

当ヒュッテは救助要請や非常事態の場合を除き、15時半から翌朝8時までは宿泊者以外の立ち入りをお断りしています。

国道299号の麦草峠付近は冬季通行止めです。

北八ヶ岳ロープウェイの営業時間は9:00~16:00までです。

長野県登山条例で登山計画書の提出が義務化されています。

【北八ヶ岳・北横岳ヒュッテ】

営業/通年(要予約、予約のない日は休館となります)

夏期料金(6月〜9月)
1泊2食付き 8000円
1泊夕食付き 6900円
素泊まり 4800円

春季・秋季料金(4月、5月、10月、11月)
夏期料金に対して400円増しとなります。

冬季料金(12月〜3月)
夏期料金に対して800円増しとなります。

収容/30人

ご予約・お問い合わせ
〒391-0301
長野県茅野市北山4035-2 石臼台A-8
島立健二
予約 090-7710-2889
現地 090-3140-9702