努力の多くは水の泡

先週の金曜、土曜にまとまった雪が積もり、とうとう平均2m程度の積雪量となりました。
この量は例年の3月に迎える最大積雪量に匹敵し、多くの場所で道標や赤テープ等の目印が埋もれゆくのです。

※今後はさらに積雪が増え不明瞭箇所が非常に多くなるため、縦走や周遊コースよりも冒険的要素の少ない往復登山の方が比較的安全となります。

陽の沈む頃(北横岳南峰・2月1日撮影) Photo by Kenji Shimadate

陽の沈む頃(北横岳南峰・2月1日撮影)

山頂駅からヒュッテまでの間はこちらが荷揚げで歩くので目印等のチュックをしたり、スコップ等を使って雪で嵩上げされた登山道を削ったりしてルートを分かりやすくしているのですが、こう頻繁に雪が降ると努力は水の泡となり、急斜面につけられた九十九折れの道はただの急斜面となってしまうのです。

この土曜日に風もなく積もった雪はダウンのようにふんわりとしていて、急斜面にも15㎝程度積もったのでした。

経験上、今の積雪量でこのように雪が積もると樹林帯であっても急斜面では雪が滑り落ちていくので、登山者が登ってくる前に登山道の除雪を兼ねながら急斜面の新雪を強制的に流し落としたのです。雪かきで投げ捨てた雪をきっかけに、幅5m、長さ50mを雪が滑り落ちていく様子ははっきり言って雪崩そのもので、軽い雪とはいえ恐怖を感じてしまうのです。

※この作業は毎回できるものではないので、新雪直後は登山者各自で雪崩に注意してもらわなければなりません。九十九折れの登山道をショートカットする行為は危険なので絶対に行わないようにしてください。

多雪により雪と格闘しているような毎日で、特に外トイレを使用できるようにするため多大な時間と労力をかけています。

ただ残念なことに、床板を傷めるということに配慮せず、アイゼンやスノーシューを装着したままトイレを利用する人が後を絶たないのです。トイレの入り口の扉、入り口の5m前にもアイゼン等を外すお願い書きを掲示しているのですが、字が読めないのか理解力がないのか、それともルールを守る気のない自分勝手な人なのか分かりませんが、そのような人たちのためにトイレを使えるようにしているわけではありません。

建物内に入るときはアイゼン等を外すことや、自然環境へ配慮してトイレを使用することを常識と考えている人たちのために除雪を続けているのです。

※こちらの努力を無にするような心無いトイレ利用者には厳しい注意を与え、床板修繕費を請求いたします。

月の沈む頃(三ッ岳・2月1日撮影) Photo by Kenji Shimadate

月の沈む頃(三ッ岳・2月1日撮影)

先日、写真教室で山岳写真家の菊池哲男氏が来られました。厳しい寒気と強風の暗闇の中へ出かけて行く先生と生徒さんたちに触発され、私も気合を入れて三ッ岳へと撮影に向かいました。坪庭との分岐点からはラッセルとなり、ようやく辿り着いたお気に入りの尖がり岩には、狙い通りの月の明かりが照らしていたのです。

月が沈むのと競争するように急いで撮影を開始したのですが、あまりの強風にブレブレ画像を量産するばかりで、まともなものは数カットという有様でした。

強風吹き荒ぶ極寒の中で撮影時間込の往復2時間頑張ってはみましたが、こちらも努力の多くが水の泡となり、凍えた指先の痛さと相まって自分自身の行動にでさえも情けなくなってしまいました。

※倒木が多くなっています。通過の際には注意してください。

※経験や装備不足の方は決して無理をしないようにお願いします。

※スノーシューは植生を傷めないようにお楽しみください。著しい植生破壊は罰せられます。

※登山道以外につけられたスノーシューの踏みあとに迷い込まないように注意してください。

※登山道を滑り降りるのは衝突事故の恐れやステップを崩すことにもなる迷惑行為です。

【山のようす 2月2日現在】

ヒュッテのある標高2400mの最近の気温は、最低が-20℃~-4℃、最高は-15℃~-2℃です。

強風が吹き荒れる日もあるので体感温度はもっと下がります。防寒着等は必ず寒い方へ対応できるものをご用意ください。

積雪は平均2m程度で吹き溜まりには3m以上あります。例年の最大積雪量とお考えください。(今後の降雪にもよりますが4月まで積雪が増え続ける可能性があります)

北横岳以北はルート示す目印が少なく雪も多いので、カンジキやスノーシュー、テントを持った力量のある方以外は向かわないようにしてください。

三ッ岳~雨池峠までのトレースは期待できません。三ッ岳Ⅱ峰からⅠ峰までが不明瞭で、雨池山には倒木が多くあります。

アイゼン等の滑り止めを必ずご用意ください。カンジキやスノーシューは状況により有効です。

山の状況に対して装備不足と思える登山者が目に付きます。特に初心者を連れて来られる方は、必ず装備や力量の確認をしてから入山してください。

疲労や道標の見落とし等により、行程計画に対し大幅に遅れてしまっている登山者を見かけます。最終目的地には15時までに到着できるような計画であることや、トラブル等へ対処するための予備時間を行程計画に入れ込むことをすすめます。

日帰り登山の方でもヘッドランプは必ず携行してください。

緊急時を除き、指定地にテントを張るのがルールです。指定地以外での幕営は植生破壊となる場合があります。

万が一の時に備えての装備だけでなく、経験や知識等が必要となるので初心者だけでの登山は控えるようにお願いします。

個人個人の登山能力や装備等が山の状況にそぐわない場合や体調が優れない時などは、登山計画の変更あるいは中止するなど柔軟に対応してください。

山の最新情報や装備についての問い合わせは現地電話(090-3140-9702)へお尋ねください。

【予約状況 2月2日現在】

2月21日は満室となりました。

2月4、5、12、25日、3月4、5日は都合により宿泊予約をお受けできません。
(上記以外の日でも宿泊予約の入っていない日に用事を入れてしまうことがあります)

尚、宿泊予約の無い日は閉館しているのでご注意ください。

定員制と予約人数に合わせて食材を背負い上げているので宿泊される方は必ず予約してからお越しください。

当ヒュッテは定員制です。相部屋利用が基本で個室ではありません。満室時の就寝スペースは一人一畳となります。

現在の食事の時間は夕食が17時30頃~19時終了、朝食は7時~8時終了です。

また宿泊にあたっては、こちらのページもお読みください。
https://kitayoko.com/information

【お知らせ】

ピラタス蓼科ロープウェイの名称は「北八ヶ岳ロープウェイ」に変更となりました。

ロープウェイから茅野駅行きのバス便の最終時間に気をつけてください。繁盛期を除き15時5分が最終便となります。

【北八ヶ岳・北横岳ヒュッテ】

営業/通年(要予約、予約のない日は休館となります)

夏期料金(6月〜9月)
1泊2食付き 8000円
1泊夕食付き 6900円
素泊まり 4800円

春季・秋季料金(4月、5月、10月、11月)
夏期料金に対して400円増しとなります。

冬季料金(12月〜3月)
夏期料金に対して800円増しとなります。

収容/40人

ご予約・お問い合わせ
391-0002
長野県茅野市塚原2-17-26
島立健二
予約 090-7710-2889
現地 090-3140-9702