去りゆく冬

3月も下旬となり、いよいよ冬山シーズンの終盤を迎えました。

今冬は暖かな日が多く、さらに1、2月中に何度も雨が降ってしまったのでモンスター並みに発達した樹氷どころか、真っ白な美しい樹氷の景観さえもまともに楽しめなかったのです。

冬期間中には写真愛好家の方々が美しき雪景色を求めて訪れるのですが、今冬は異常なほどの暖冬であっため出かけてきていただいても思い描いているような景色になかなか出会えずにいました。

沈みゆく月(3月20日撮影) Photo by Kenji Shimadate

沈みゆく月(3月20日撮影)

春分の日の連休中にも写真撮影を目的とした方が多く宿泊されていましたが、晴れてはいても樹氷が無かったり、霧氷が美しくても霧に包まれたままだったりのやや片手落ち的な残念な状況で、帰り際に来シーズンに期待しますと言って帰られて行ったのです。

この場所で山小屋を営んでいるので一般の方よりも美しい景観を見るチャンスは圧倒的に多いので贅沢と言われるかもしれませんが、ワクワクするような凄い雪景色は数回しかなかったのです。条件が良くないと良い写真が取れない「被写体おんぶ型」の私には少々残念な冬で、不完全燃焼気味でもありました。

朝焼けの林下(3月22日撮影) Photo by Kenji Shimadate

朝焼けの林下(3月22日撮影)

ここでのいろんな条件での素晴らしい景観を写真や画像として残していくことや、こんな景色が見られるということを伝えていくことも山小屋の仕事と思っているので、朝から夕方だけでなく夜間にも撮影をしています。

このウェブ上にも星月夜の画像を掲載して夜の魅力を伝えていますが、夜間行動の危険やリスク、就寝されている方への配慮を伝えきれずにいたのではないかと感じています。

危険やリスクは自己の責任の範疇で、夜間に救助の必要な大怪我をされても救助隊が来てくれる昼前まで痛みに耐えていただければよいのですが、一般的な登山者にとっての就寝は1日の疲れを取り翌日の行動に備えるための重要な要素となるので、消灯後に就寝している人をはっきりと目覚めさせるような行為は許しがたいものとなります。

迷惑となる主な行為は物音と明かりとなるので、消灯後に行動する場合は予めパッキングした荷物とアウターウエア等を持って速やかに退室し、土間での身支度も静かに行っていただかなければなりません。また、戸の開け閉めや喋り声、屋外であっても山小屋付近では足音を立てることさえも注意が必要です。

明かりについてですが、寝室内では寝ている人の顔に光が当たらぬように注意し、屋外に出ても山小屋を照らすことも止めていただかなければなりません。

消灯後に屋外で行動する方の行為が山小屋関係者の間でも問題視されつつあるので、山小屋によっては消灯後の外出を制限する可能性もあります。

そうならないためにどこの山小屋に行っても同宿されている方への配慮を最重視していただき、また救助が必要となるような怪我をされないよう慎重な行動をお願いいたします。

春待つ蕾 Photo by Kenji Shimadate

春待つ蕾

※寒暖の差がありますが、装備等は必ず寒い方に対応できるものをご用意ください。逆に気温が異常に高い時は濡れ対策が必要です。

※スノーシューで登山道を外れて楽しまれる方は植生を傷めないようにご注意ください。特に坪庭や北横岳は自然環境の特別保護地区に指定されているので、著しい植生破壊は罰金または禁固刑に処されることもあります。

※アイゼンやスノーシューの脱着は必ず屋外で行い、装着したままで建物内へ踏み入ることのないようにしてください。

【山のようす 3月22日現在】

ヒュッテのある標高2400mの最近の気温は、最低が-12℃~-2℃、最高は-6℃~3℃です。

ヒュッテ付近の積雪量は100㎝程度です。吹き溜まりには150㎝以上の積雪があります。

登山道は朝夕等の気温が低い時には氷化し、日当たりの良い場所や気温が高い時にはグズグズになります。アイゼンは6本爪以上をおすすめします。

山の最新情報や装備についての問い合わせは現地電話(090-3140-9702)へお尋ねください。

【予約状況 3月22日現在】

現在満室となっている日はありません。

4月4~22日は都合により閉館いたします。

尚、宿泊予約の無い日は閉館しているのでご注意ください。

定員制と予約人数に合わせて食材を背負い上げているので宿泊される方は必ず予約してからお越しください。

当ヒュッテは定員制です。相部屋が基本で個室ではありません。満室時の就寝スペースは一人一畳となります。

現在の食事の時間は夕食が17時30頃~19時終了、朝食は6時~7時終了となります。

朝陽や夕陽の時間帯に食事時間が重なるので、朝夕にじっくりと写真撮影をされたい方には素泊まりをおすすめします。

宿泊予約されている方は遅くとも16時までに到着してください。

お弁当はできません。

また宿泊にあたっては、こちらのページもお読みください。
https://kitayoko.com/information

【登山の注意点】

昨冬の八ヶ岳ではお尻で滑り降りて足を骨折する事例が2件発生し、いずれも救助隊に救出されるという遭難事故がありました。登山道を意図的に滑り降りると登下降のためのステップを潰して尚且つ雪面を硬くしてしまいます。滑り降りて楽しいのは本人だけで多くの人にすれば迷惑行為です。他人への衝突の危険もあるので登山道を滑り降りることはご遠慮願います。

アイゼン等の滑り止めを必ずご用意ください。大雪の後はカンジキやスノーシューが有効です。

三ツ岳や大岳付近はペンキ印を頼りにするルートです。積雪時の行動は慎重にお願いします。

北横岳以北へ向かう方はカンジキやスノーシュー、テント等を必ず持っていただき、力量のある方以外は向かわないようにしてください。

北横岳が活火山であることに留意されますようお願いいたします。尚、北横岳には噴火に備えてのシェルターやヘルメット等の配備はありません。

山の状況に対して装備不足と思える登山者が目に付きます。特に初心者を連れて来られる方は、必ず装備や力量の確認をしてから入山してください。

疲労や道標の見落とし等により、行程計画に対し大幅に遅れてしまうことがあります。最終目的地には15時までに到着できるような計画であることや、トラブル等へ対処するための予備時間を行程計画に入れ込むことをすすめます。

日帰り登山の方でも登山で必要な最低限の装備を必ず携行してください。(装備不足は命が危険に晒されることになります)

万が一の時に備えての装備だけでなく、経験や知識等が必要となるので初心者だけでの登山は控えるようにお願いします。

個人個人の登山能力や装備等が山の状況にそぐわない場合や体調が優れない時などは、登山計画の変更あるいは中止するなど柔軟に対応してください。

緊急時を除き、指定地にテントを張るのがルールです。指定地以外での幕営は植生破壊となる場合があります。

【お知らせ】

当ヒュッテは昼食の提供をしておりません。また不定休となっているので休憩利用ができないことがあるのでご注意ください。

麦草峠付近と大河原峠付近の車道は冬季閉鎖となっています。

北八ヶ岳ロープウェイは4月4日(月)から22日(金)まで点検運休となります。

【北八ヶ岳・北横岳ヒュッテ】

営業/通年(要予約、予約のない日は休館となります)

夏期料金(6月〜9月)
1泊2食付き 8000円
1泊夕食付き 6900円
素泊まり 4800円

春季・秋季料金(4月、5月、10月、11月)
夏期料金に対して400円増しとなります。

冬季料金(12月〜3月)
夏期料金に対して800円増しとなります。

収容/30人

ご予約・お問い合わせ
391-0002
長野県茅野市塚原2-17-26
島立健二
予約 090-7710-2889
現地 090-3140-9702