得策の代償

17日の夕方に夕景を楽しめた以降は愚図ついた空模様が続くようになってしまいました。

どうやら梅雨明けからの夏山らしさは3週間ほどで終わりを迎えることになりそうです。

今夏もサンダル履きや手ぶら登山の方を見かけました。

暮れゆく八ヶ岳(8月17日撮影) Photo by Kenji Shimadate

長野県登山条例が制定されて3年が経ちましたが、山の危険に無頓着な方々には条例が制定された理由が届かないまま時間だけが流れてしまったようです。

さらに最近はトレイルランナーの軽快さを見習ってか、必要なものを持たずに軽い荷物で歩く方が増えてしまいました。

必要なものを持たない方にでも遭難時には救助隊が出動してくれて罰則もないのであれば、装備不足に不安があっても軽い荷物での登山の方が確かに快適で得策なのかもしれません。

霧の中の夕暮れ(8月17日撮影) Photo by Kenji Shimadate

ただし、遭難しても救助隊がその日の内に駆けつけてくれるとは限らないので、救助されるまでは厳しい自然環境の中で自身の命を守らなければなりません。最悪の場合、得策の代償が命という事にもなりかねないのです。

山小屋の外来向け営業時間外(夕方から朝まで)に水や食料、電池等を当たり前のように買い求めて来る方がいますが、夕方以降でも登山を続けるのであればそれは冒険的な要素が強くなり一般的な登山とは言えません。私はそのような行為に対して協力する必要はないと考えています。

夕方以降に山小屋に頼らなければならないようであればその時点で準備不足が明確なわけで、冒険的な登山は終了するべきなのです。早朝の場合は登山を始めてすぐに物不足となっていることが問題で、物を持たずに楽をしておきながら営業時間外の山小屋に物品を求めてくること自体が大きな間違いなのです。

非情と思われるかもしれませんが、困っているからと何でも対応してあげる山小屋側の親切心が登山者を甘やかすことになり、その結果に必要なものを持たない登山者を増加させてしまうことになりかねないのです。

私が手厳しい対応をしたところで荷物を軽くしたいというのは登山者の願望でもあるので、装備不足登山は今後さらに増えてしまうことが想像できます。登山は自己責任で行うという根底自体を守るためにも登山条例を制定した長野県には、装備不足と認定できる遭難者には過料を科すなどの新たな制度を設けて装備不足での入山を抑止する仕組みを整えていただきたいと思います。

このまま登山者の自覚に任せるということであるのならば、救助体制を強化し将来的には夜間救助も行うくらいのことをしなければ装備不足の方の人命は守れなくなってしまいます。

夏から秋へと進む季節の変わり目は山岳地と生活圏との季節感が大きく異なってしまいます。今後は最低気温が5℃以下となったり、9月に入れば氷点下になることもあるのです。

荷物の軽量化に努めるあまり防寒対策不足となれば低体温症に陥ることもあります。体力がないからとか、山を早く移動したいから荷物を少なくするというのは本当に危い行為です。

必要なものを持たなかったことを後悔することのないよう、自分の身は自分で守るという意識を持って入山されるようお願いいたします。

※台風10号による登山道への被害はなさそうです。

※当ヒュッテは外来利用できないことが多々あります。営業時していても昼食や喫茶の提供は行っておりません。

※暑さ対策で肌の露出を多くされる方はケガ、日焼け、虫刺され等に注意してください。特に足は裂傷等を負うと歩行困難となります。

※落雷には十分注意して、無理な行動は控えるようにしてください。

※迷子防止のため、子供だけを先に行かせることのないようにしてください。

【山のようす 8月22日現在】

ヒュッテのある標高2400mの最近の気温は、最低が9℃~13℃、最高は13℃~18℃です。

今後は最低気温が5℃以下まで下がることもあります。

山の最新情報や装備についての問い合わせは現地電話(090-3140-9702)へお尋ねください。

【予約状況 8月22日現在】

9月7日は満室としていましたが、空きができました。

8月中の混雑日は今のところありません。

11月5日~12月13日は閉館します。

上記以外の日でも急な都合により、宿泊予約をお受けできないことがあります。

宿泊予約の無い日は閉館しているのでご注意ください。

定員制と予約人数に合わせて食材を買出しして背負い上げるので、宿泊される方は必ず予約してからお越しください。

宿泊を希望される方は「宿泊の方へ」のページも必ずお読みください。
https://kitayoko.com/information

【登山の注意点】

北横岳が活火山であることに留意されますようお願いいたします。尚、北横岳には噴火に備えてのシェルターやヘルメット等の配備はありません。

山の状況に対して装備不足と思える登山者が目に付きます。特に初心者を連れて来られる方は、必ず装備や力量の確認をしてから入山してください。

夕方以降に大怪我等をされても救助活動は翌朝となります。暗くなってからの行動は昼間よりも危険となるので夕方以降は各自の能力範囲内で行動してください。

疲労や道標の見落とし等により行程計画に対し大幅に遅れてしまうことがあります。最終目的地には15時までに到着できるような計画であることや、トラブル等へ対
処するための予備時間を行程計画に入れ込むことをすすめます。

日帰り登山の方でも登山で必要な最低限の装備を必ず携行してください。(装備不足は命が危険に晒されることになります)

万が一の時に備えての装備だけでなく、経験や知識等が必要となるので初心者だけでの登山は控えるようにお願いします。

個人個人の登山能力や装備等が山の状況にそぐわない場合や体調が優れない時などは、登山計画の変更あるいは中止するなど柔軟に対応してください。

緊急時を除き、指定地にテントを張るのがルールです。指定地以外での幕営は植生破壊となる場合があります。

長野県登山条例で登山計画書の提出が義務化されています。

【お知らせ】

10月より宿泊料金の値上げを予定しています。

当ヒュッテは昼食、喫茶の提供をしておりません。また不定休となっているので山小屋を利用できないことがあります。

救助要請や非常事態の場合を除き、15時半から翌朝8時までは宿泊者以外の立ち入りをお断りしています。

11月5日~12月13日まで北八ヶ岳ロープウェイは点検運休となります。

【北八ヶ岳・北横岳ヒュッテ】

営業/通年(要予約、予約のない日は休館となります)

夏期料金(6月〜9月)
1泊2食付き 8200円
1泊夕食付き 7000円
素泊まり 4800円

令和元年10月より500円の値上げとなります。

春季・秋季料金(4月、5月、10月、11月)
夏期料金に対して400円増しとなります。

冬季料金(12月〜3月)
夏期料金に対して800円増しとなります。

収容/30人

ご予約・お問い合わせ
〒391-0301
長野県茅野市北山4035-2 石臼台A-8
島立健二
予約 090-7710-2889
現地 090-3140-9702