救助の困難な状況下

7日の日曜日に赤岳山頂と北横岳山頂で八ヶ岳開山祭が行われる予定でしたが、新型コロナウイルス感染問題で麓のとある場所で、関係団体代表者により安全祈願と亡くなられた方の慰霊祭が執り行われました。

安全祈願が行われましたが、ケガや体調不良、疲労での行動不能、その他道迷い等の登山中の事故は、標高の低い山であろうが難易度が低い山であろうが誰にでも起きる可能性があります。そして今年の登山で特に気を付けなければならないのは体調不良です。

北峰から望む蓼科山(6月7日撮影) Photo by Kenji Shimadate

北峰から望む蓼科山(6月7日撮影)

山で起きる体調不良の代表的なものには高山病や熱中症が挙げられますが、新型コロナウイルスに感染し始めた時と症状が似ているため、体調不良者の救助活動は感染防止を意識しながら行うことになります。

暑くなる前は体調不良者に防護服一式を着せる救助方法が示されましたが、暑くなるこれからの時期では熱中症の方に熱のこもりやすい防護服を着せることもできず、高山病の方にもマスクを着用していただくことができません。

イワカガミ(6月10日撮影) Photo by Kenji Shimadate

イワカガミ(6月10日撮影)

そのため体調不良者を救出する時は隊員が感染対策をしなければならず、防護服一式に着替えて行うか、緊急的な場合は上下レインウエアを着てフードをかぶり、マスクにゴーグル、衛生手袋にゴム手袋を重ねて救助を行うことが感染対策として示されています。ところがその方法で救助活動を行った場合、隊員が熱中症に陥ってしまうということも指摘されているのです。

ヘリコプターの使えない状況での山岳救助は、早急に救出するために最善を尽くさねばなりません。やむを得ない場合は体調不良者と隊員の双方とも感染対策無しでの救助活動になることがあるかもしれないのです。

救助された方が新型コロナウイルスに感染していた場合は、隊員の検査結果が出るまで次の救助活動に出動できないので救助隊員不足に陥ることも心配されるのです。

救助隊員の負担を減らすためにも、体調不良を感じながらも登山を続けて悪化させることがあってはなりません。

体調不良を感じたら歩みを止め、少しの休憩で体調が戻らない時は、症状の軽い内に最寄りの登山口へ向かうようにしていただきたいと思います。

山小屋まで頑張ればという考えもあるかもしれませんが、症状によっては遠巻きに支援するだけで館内への収容も拒まなければならないということをご理解ください。

体調不良で行動に支障が出た時の介助はあくまでも同行者です。通りすがりの登山者は新型コロナウイルスの感染リスクがあるので、手を差し伸べてくれないと考えなければなりません。

そのため単独登山は慎重を極めるものになります。

今だから単独行という方もいられると思いますが、単独行デビューをする方は自力ではどうすることもできないことが登山中に起きた時、携帯電話が通じない場所で誰も通らなかった時のことを必ず想像するようにしてください。

そして、入山されるすべての方々にはセルフレスキューの意識を今まで以上に強く持っていただかなければなりません。

登山は自己責任というものの、軽装備で一晩のビバークもできそうもない格好で登山をされる方がいますが、体力を消耗した後の食糧と水不足、防寒対策不足でのビバークは命に関わるということを真剣に考えてもらいたいものです。

今は救助が困難な状況下です。入山前の下調べ、十分な装備、難易度を落とした山選び(能力に見合った登山)、ゆとりのある登山計画、熱中症や高山病にならない対策等、今まで以上の慎重な行動をとられるようお願いいたします。

【山のようす 6月12日現在】

ヒュッテのある標高2400mの最近の気温は、最低が4℃~9℃、最高は8℃~18℃です。

坪庭から北横岳の登山道沿いで、イワカガミ、ウスバスミレ、クロウスゴ、コミヤマカタバミ、コメバツガザクラ、コヨウラクツツジ、ヒメイチゲ、ミツバオウレン、ミネザクラ、ミネズオウの開花を確認しています。

坪庭から北横岳までの登山道の残雪はほぼなくなりましたが、北横岳~亀甲池間には残雪や氷が残っているところがあります。

山の最新情報や装備については現地電話090-3140-9702へお問い合わせください。

【予約状況 6月12日現在】

6月18日まで休業いたします。

10月10日は満室となっています。

6月19日以降の宿泊は素泊まりで、定員10名程度、最大3組(個室対応)となります。

寝袋持参で当ヒュッテの寝具を使わない場合は500円引きいたします。

当ヒュッテは新型コロナウイルス感染対策に配慮していますが、万全ではないということを予めご承知おきください。

営業再開後でも宿泊予約の無い日は閉館しているのでご注意ください。

お支払いは現金のみとなります。

チェックインは13時からです。安全のため16時までには到着してください。

チェックアウトは9月末まで7時30分です。

宿泊を希望される方は「宿泊の方へ」のページ及び5月31日付けの山小屋便りも必ずお読みください。
https://kitayoko.com/information

*今夏に予定されていた「八ヶ岳キッズチャレンジ」(子供の無料宿泊企画)は中止となりました。

【登山の注意点】

北横岳が活火山であることに留意されますようお願いいたします。尚、北横岳には噴火に備えてのシェルターやヘルメット等の配備はありません。

山の状況に対して装備不足と思える登山者が目に付きます。特に初心者を連れて来られる方は、必ず装備や力量の確認をしてから入山してください。

夕方以降に大怪我等をされても救助活動は翌朝となります。暗くなってからの行動は昼間よりも危険となるので夕方以降は各自の能力範囲内で行動してください。

疲労や道標の見落とし等により行程計画に対し大幅に遅れてしまうことがあります。
最終目的地には15時までに到着できるような計画であることや、トラブル等へ対処するための予備時間を行程計画に入れ込むことをすすめます。

日帰り登山の方でも登山で必要な最低限の装備を必ず携行してください。(装備不足は命が危険に晒されることになります)

万が一の時に備えての装備だけでなく、経験や知識等が必要となるので初心者だけでの登山は控えるようにお願いします。

個人個人の登山能力や装備等が山の状況にそぐわない場合や体調が優れない時などは、登山計画の変更あるいは中止するなど柔軟に対応してください。

緊急時を除き、指定地にテントを張るのがルールです。指定地以外での幕営は植生破壊となる場合があります。

長野県登山条例で登山計画書の提出が義務化されています。

【お知らせ】

現在休業中です。

営業再開後であっても当ヒュッテは昼食、喫茶の提供をしておりません。また不定休となっているので山小屋を利用できないことがあります。

救助要請や非常事態の場合を除き、15時半から翌朝8時までは宿泊者以外の立ち入りをお断りしています。

【感染対策の営業】 要予約、予約のない日は休館となります

夏期料金(6月〜9月)
1泊2食付き 9400円
1泊夕食付き 8200円
素泊まり 6000円
*消費税及び感染対策費含む
*寝袋持参は1000円引き

春季・秋季料金(4月、5月、10月、11月)
夏期料金に対して400円増しとなります。

冬季料金(12月〜3月)
夏期料金に対して800円増しとなります。

収容/30人

ご予約・お問い合わせ
〒391-0301
長野県茅野市北山4035-2 石臼台A-8
島立健二
予約 090-7710-2889
現地 090-3140-9702