安全祈願
今月初めにロープウェイ山頂駅で行動範囲と集合時間を決められて自由行動となった高校生50名ほどの内の7人が一時行方不明となる遭難騒ぎがありました。
私にも招集がかかり6人態勢の救助隊が組織され18時過ぎから捜索を始めましたが、先生と共に自力下山する7人の無事をすぐに確認できたので、明るさの残る19時半までに全員を山頂駅に収容することができました。
私見を述べさせてもらうと、救助活動は短時間で済みましたが早く見つからなければかなり危うい気象状況で、7人は15時頃に雹混じりの雷雨に打たれ、収容時も雨で気温は3℃まで下がっていたのです。
さらに危うかったのは登山道以外の場所を行動したことで、登山道に戻れず分散して行動していたら全員を発見するのは難しかったかもしれません。
暗くなり携帯電話が使えなければ心細くなり、さらに空腹で寒さに凍えて命の危険を感じてしまえば正常な判断ができなかったかもしれません。
幸運だったのは昼食後の行動で極端な空腹にならなかったこと、簡易なものでも雨具を持っていたこと、林間学校のしおりに地形のわかる地図が添付されていたこと、携帯電話の利用ができGPS機能で現在地を確認し居場所を連絡していたことです。
登山道を外れる危険を知らないが故に起きた遭難騒ぎですが、登山知識の無い高校生の行動を責めることはできません。
悪い状況となっても、持ち合わせているモノを活用して進むべき方向を見定め、仲間をいたわり合いながら全員一緒に戻って来たことは立派な行動だったと思います。
北横岳周辺でこの一年に公的機関が出動した救助活動が5件にもなってしまいました。この内の3件は早い段階で引き返してさえいれば自力下山できていたはずでした。
引き返す決断が遅れれば遅れるほど先に進み過ぎてしまい、戻ることがさらに困難になってしまうのです。また「魔が差す」「若気の至り」といった言葉があるように、なぜ?と思える判断をして遭難してしまうことがあります。
そのため重要となるのは遭難したと気付いた時に、悪い状況をさらに悪化させないための正しい判断と冷静な行動なのです。
先日、北横岳山頂で開山祭が行われ安全が祈願されました。登山者の皆様には無理のない計画で安全な登山を心掛けていただくと共に、トラブルが発生した時の判断と行動が最重要と肝に銘じていただきたいと願います。
【山のようす】 6月17日現在
ロープウェイ山頂駅から北横岳までの登山道の残雪は無くなりました。北横岳から亀甲池の間には残雪があり、登山道の4分の1が雪道となります。
気温は最低が6℃前後、最高が13℃前後です。平地との気温差が15℃程あるので服装には注意してください。
高山植物の開花が進んでいます。ヒュッテ付近でコミヤマカタバミ(写真)、イワカガミ、ミツバオウレン、ミネザクラの開花が始まりました。
ダケカンバの新緑は標高2000mまで上がってきましたがヒュッテ付近では月末頃になりそうです。
【予約状況】 6月17日現在
しばらく混み合う日はありませんが7月17日(土)は満室となりました。宿泊予約の無い日は閉館しているため宿泊される方は必ず予約してからお越しください。
日が長くなりましたが、ヒュッテにはどんなに遅くても16時半までに到着できるようにご計画ください。
夕食は18時から、朝食は6時からとなります。
当ヒュッテだけでなく近隣の山小屋も宿泊予約の無い日は閉館している場合があるので注意してください。
【お知らせ】
ロープウェイの営業時間が不規則なため、利用される方は直接お問い合わせください。(TEL:0266-67-2009)
【北八ヶ岳 北横岳ヒュッテ】
●営業/通年(要予約、予約のない日は休館となります)
●宿泊料金(4月〜10月)/
1泊2食付8,000円〜、1泊夕食付6,900円〜、素泊り4,800円〜
小学生以下の宿泊料金は2,000円引きとなります。
翌日の弁当 800円(要予約)
●収容/40人
●ご予約・お問い合わせ
391-0002長野県茅野市塚原2-17-26 島立健二
予約 090-7710-2889
現地 090-3140-9702