多雪に注意

今冬は非常に積雪が多く、最大積雪期を迎える前に例年のピーク時よりも多い積雪量となっています。

月入りに染まる山稜

月入りに染まる山稜

積雪が多いことで例年よりも高い位置を歩けるので、ちょっとだけ違った景色が眺められることで得した気分にはなれるのですが、困ったことも起き始めてきました。

それは道標を始め、登山道を示すポールや赤テープ等の目印が埋もれているところが多くなっていることです。

現状でもルート探しが困難な場所があり、ルートが分かっても枝の間をくぐり抜けたりしなければならないところもあります。

大雪が降ればさらに状況は悪化し、ラッセルだけでなくルート探しにも思いのほか体力と時間を費やしてしまうことになり、今まで起きていなかった場所でも雪崩が発生する危険もあるのです。

レジャー感覚で訪れる方が多い北八ヶ岳ロープウェイ周辺であっても、今後の増雪次第では熟達した登山者にのみ許された領域となってしまいます。

そのため登山に関わる総合力の低い方には撤退のしやすい目的地を往復するコースをすすめます。

入下山口が違うコース設定や周遊コースではルートがわからない時に引き返せなくなることがあり、ルート探しの踏み跡が多数できると間違ったトレースに誘い込まれる恐れもあるのです。

南峰と北峰間の朝焼け

南峰と北峰間の朝焼け

先月、自力下山を断念したテント山行の単独登山者が救助されました。下山予定日を過ぎてなお自力下山を試みたものの、砂粒状になった悪雪とその雪量に登り返すことも下ることも困難になったのです。

悪雪でのラッセルと不明瞭なルートであったので進み過ぎる前に引き返しさえいれば遭難に至ることは無かったと思われますが、引き返す判断を鈍らせてしまう要因がありました。

それは同一ルートを歩いた方のブログに記されていた、亀甲池まで問題なく下れて池には人がいたという内容を信じてしまったことです。

冷静な判断ができる状態であればブログの過去の状況と現在の状況が違うと理解できるものですが、肉体的・精神的に追い詰められてしまうと不確かなことを信じて行動してしまうことがあるものです。今回の件も、「もう少し下れば歩きやすくなる」「亀甲池まで行けば人がいる」と信じてしまったのかもしれません。

北横岳の最大積雪期は例年3月で、寒気の残る年は3月下旬から4月中旬に最大積雪を記録することもあります。

今冬は記憶にない程の積雪となる可能性があるので、過去のブログ等の情報は参考にならないことがあり、山小屋の人が頻繁に歩くルート以外の目印は見つけられなくなるかもしれません。

遭難の未然防止のため時間的に余裕のある登山計画を立て、無理な行動は慎むようにお願いします。

【山のようす 3月1日現在】

ヒュッテのある標高2400mの最近の気温は最低が−23℃〜−5℃、最高が−16℃〜0℃前後です。

3月に入り気温の高いことがありますが、装備等は必ず寒い方に対応できるものをご用意ください。逆に気温の高いときは濡れ対策が必要です。

大雪直後の樹林帯の急斜面では、極小規模ながらも表層雪崩が発生することがあり、急斜面につけられたつづら折れの登山道をショートカットすると雪崩を誘発する恐れがあるので十分注意してください。

標高2400m付近では概ね150〜250cm、標高2000m付近は100〜200cm程です。

風の吹き抜ける場所や日当たりの良い南側では積雪が少なく、逆に樹林内や北寄りの斜面には積雪が多くなり、吹き溜まりの積雪は3m以上となっています。

道標が埋もれている可能性があるので分岐点付近では十分に注意してください。

登山道は氷化して硬くなっている場合や新雪後はラッセルとなることもあります。アイゼンが基本装備でカンジキやスノーシューは状況により必要となります。

登山道以外でスノーシューを楽しまれる方は、植物を傷めないように十分注意してください。

緊急時を除き、冬季でも指定地にテントを張るのがルールです。指定地以外での幕営は植生破壊となる場合があります。

山頂駅から北横岳までのトレースは風雪により消えてしまうことがあります。(坪庭では竹竿、樹林内は赤テープの目印が付いています)

三ッ岳や大岳〜双子池間はペンキ印を頼りに歩く岩場です。積雪のあるときはルートが不明瞭となるので安易に立ち入らないようにお願いします。

北横岳以北の双子池や蓼科山方面へはラッセル前提で向かってください。尚、北横岳〜亀甲池間、大岳〜双子池間は積雪が多くなり、赤テープ等の目印が埋もれ登山道は不明瞭です。テント泊以外の方は向かわないようにしてください。

山の状況に対して装備不足と思える登山者が目に付きます。特に雪山初心者を連れて来られる方は、必ず装備や力量の確認をしてから入山してください。

疲労や道標の見落とし、積雪等により行程計画に対し大幅に遅れてしまっている登山者を見かけます。最終目的地には15時までに到着できるような計画であることや、トラブル等へ対処するための予備時間を行程計画に入れ込むことをすすめます。

日帰り登山の方でもヘッドランプは必ず携行してください。

万が一の時に備えての装備だけでなく、経験や知識等が必要となるので初心者だけでの登山は控えるようにお願いします。

個人個人の登山能力や装備等が山の状況にそぐわない場合や体調が優れない時などは、登山計画の変更あるいは中止するなど柔軟に対応してください。

山の最新情報や装備についての問い合わせは現地電話(090-3140-9702)へお尋ねください。

【予約状況 3月1日現在】

3月4、5、6、7日は都合により宿泊できません。

3月2日は満室となりました。それ以外の日に満室となっている日はありません。(当ヒュッテは定員制です。相部屋利用が基本で個室ではありません。満室時の就寝スペースは一人一畳となります。)

宿泊予約の無い日は閉館します。また、定員制と予約人数に合わせて食材を背負い上げているので宿泊される方は必ず予約してからお越しください。

また宿泊にあたっては、こちらのページもお読みください。
https://kitayoko.com/information

【お知らせ】

ピラタス蓼科ロープウェイの名称が「北八ヶ岳ロープウェイ」に変更となりました。

ロープウェイの営業時間は9時より16時で20分間隔で運行します。

車で来られる方はタイヤチェーン等の滑り止めをご用意ください。

北横岳以北の山小屋は冬期閉鎖となりました。また、当ヒュッテだけでなく近隣の山小屋も宿泊予約の無い日は閉館している場合があるので注意してください。

国道299号の麦草峠付近は冬期閉鎖されています。

【北八ヶ岳・北横岳ヒュッテ】

営業/通年(要予約、予約のない日は休館となります)
宿泊料金(11月〜4月冬期料金)/
1泊2食付8,300円、1泊夕食付7,200円、素泊り5,100円
小学生以下の宿泊料金は2,000円引きとなります。
お弁当はできません。
当ヒュッテは昼間の食事提供をしていません。

収容/40人

ご予約・お問い合わせ
391-0002
長野県茅野市塚原2-17-26
島立健二
予約 090-7710-2889
現地 090-3140-9702