夜の時間帯

一時的にとは言え、3月に入ってからは気温の高い日が多くなりました。

そのおかげで、日没後から夜明け前までの凍てつく時間帯であっても寒さに凍えることもなく写真撮影に専念できたのです。

迫る夕霧(3月2日の日没後) Photo by Kenji Shimadate

迫る夕霧(3月2日の日没後)

この時期は日没後の闇に包まれると冬の星座を代表するオリオン座が南西の空に輝き、夜明け前の南南東の空には夏の天の川が昇ってきます。3月の山上はまだまだ冬山ですが、綺麗な雪景色と星空を楽しめるのもあと数回なので、良いチャンスがあるとついつい夜遊びに出かけてしまうです。(画像は3枚とも違う日に撮影)

日没から夜明けまでの時間帯の美しさ魅せられて山岳夜景を楽しまれる方が増えてきているのですが、心配なのは事故が起こることです。登山が徐々に経験を積みながら難しい山を目指すのと同じように、山岳夜景の撮影も暖かい季節からの経験を積み重ねたり、冬山の夜は山小屋の近くで撮影することから始めることをおすすめします。

夏の天の川(3月3日の夜明け前) Photo by Kenji Shimadate

夏の天の川(3月3日の夜明け前)

そもそも夜間の行動は日中よりも登山難易度が上がるため、登山経験自体が豊富でなければ危険行為としかなりません。夜間に重大事故を起こしても救助される可能性は非常に低いので、能力や経験に見合った行動を心がけるようお願いいたします。

3月は気象の変化が激しい月で、ぽかぽか陽気の翌朝に-20℃程度まで気温が下がることがあり、風速30m/sくらいのとんでもない暴風が吹き荒れるのもこの時期です。

雪面の状態の変化も激しく、緩んだ後にカチカチに氷化してしまえば滑落の危険が高くなり、氷化している時に限らず登山道の表面だけが緩んでいる場合でも軽アイゼンや簡易アイゼンは滑り止めの役にならないこともあります。

個々の能力に左右されるところではありますが、経験の低い人ほど10本爪以上のアイゼンの使用をすすめます。また、アイゼンよりもスノーシューの方が滑りやすいので、スノーシューに不慣れな方は状況に応じてアイゼンに付け替えるようにしてください。ジグザグの登山道の道幅が狭い時やヒュッテから上部の急坂箇所ではスノーシューに不向きな場合もあるからです。

薄霧の月夜(3月8日・右上オリオン座) Photo by Kenji Shimadate

薄霧の月夜(3月8日・右上オリオン座)

3月は冬山の厳しさを全く感じさせない日もありますが、気象の変化や雪質の変化が激しく12月から2月までの厳寒期よりも危険な場合もあるのです。

今冬の八ヶ岳では異常と思えるほど遭難事故が多発し、北横岳でも滑落を原因とする死亡事故が発生しています。町では花が咲き、春の陽気に気が緩みがちとなりますが、山上は危険の潜む冬山であるということを理解してお越しください。

このところの山小屋便りは初心者向けの注意事項ばかりが多く、経験を多く積まれた方には価値のない記述ばかりで申し訳なく思っております。宿泊者にも注意を促す機会が多く、知っている限りの情報と注意点を伝えてはみるものの耳触りと感じさせてしまうこともあるようで、既に削除済ではありますが「翌日のコースを山小屋のおっさんに驚かされた」という内容のツイートが出ることもありました。

それでも注意喚起を続けているのは、雪山の危険を知らないが故に起きてしまう遭難事故を未然に防ぎたいからです。経験が少なくても聞いた知識だけで危険を回避できることもあると、そう思っていただければ幸いであります。

※北八ヶ岳全域では登山道を示す赤テープ等の目印や道標等が多くの場所で雪に埋もれています。ルート探しによるタイムロスや道迷いに注意が必要です。

※雪面が氷化しているときは滑落に注意してください。

※気温が上昇している時や強風時は樹氷が崩落することがあるので注意してください。

※初心者だけでの入山は危険です。必ず信頼のおける経験者に同行してもらってください。

※周遊登山よりも引き返しやすい往復登山をお勧めします。

※経験や装備不足の方は決して無理をしないようにお願いします。

※スノーシューの踏み跡を辿ると坪庭内の北横岳分岐点を通らない場合があるので、必ず目印のポールに沿って歩行してください。

※スノーシューは植生を傷めないようにお楽しみください。著しい植生破壊は罰せられます。

※登山道以外につけられたスノーシューの踏みあとに迷い込まないように注意してください。

※ヒュッテから北横岳南峰間の急傾斜はスノーシューに不向きです。

※登山道を滑り降りるのは衝突事故の恐れやステップを崩すことにもなる迷惑行為です。またシリセード(尻滑り)で足を骨折する事例が2件発生しています。

【山のようす 3月10日現在】

ヒュッテのある標高2400mの最近の気温は、最低が-16℃~-4℃、最高は-10℃~0℃です。

強風が吹き荒れる日もあるので体感温度はもっと下がります。防寒着等は必ず寒い方へ対応できるものをご用意ください。

積雪は平均2m以上で吹き溜まりには4m以上あります。例年の最大積雪量よりも多いとお考えください。(今後の降雪にもよりますが4月まで積雪が増え続ける可能性があります)

北横岳以北はルート示す目印が少なく雪も多いので、カンジキやスノーシュー、テントを持った力量のある方以外は向かわないようにしてください。

三ッ岳~雨池峠までのトレースは期待できません。三ッ岳Ⅱ峰からⅠ峰までが不明瞭で、雨池山には倒木が多くあります。

縞枯山や茶臼山方面も目印や道標が埋もれ不明瞭な箇所があるようです。

アイゼン等の滑り止めを必ずご用意ください。カンジキやスノーシューは状況により有効です。状況に応じて使い分けられることをお勧めします。

山の状況に対して装備不足と思える登山者が目に付きます。特に初心者を連れて来られる方は、必ず装備や力量の確認をしてから入山してください。

疲労や道標の見落とし等により、行程計画に対し大幅に遅れてしまっている登山者を見かけます。最終目的地には15時までに到着できるような計画であることや、トラブル等へ対処するための予備時間を行程計画に入れ込むことをすすめます。

日帰り登山の方でもヘッドランプは必ず携行してください。

緊急時を除き、指定地にテントを張るのがルールです。指定地以外での幕営は植生破壊となる場合があります。

万が一の時に備えての装備だけでなく、経験や知識等が必要となるので初心者だけでの登山は控えるようにお願いします。

個人個人の登山能力や装備等が山の状況にそぐわない場合や体調が優れない時などは、登山計画の変更あるいは中止するなど柔軟に対応してください。

山の最新情報や装備についての問い合わせは現地電話(090-3140-9702)へお尋ねください。

【予約状況 3月10日現在】

現在満室となっている日はありませんが、事情により3月27,28日の食事付での宿泊は受付終了となりました。

3月16日及び3月中の火、水、木曜日は都合により宿泊予約をお受けできません。

また、4月6日(月)~17日(金)はロープウェイ点検運休に合わせて休館いたします。

(上記以外の日でも宿泊予約の入っていない日に用事を入れてしまい休館することがあります)

尚、宿泊予約の無い日は閉館しているのでご注意ください。

定員制と予約人数に合わせて食材を背負い上げているので宿泊される方は必ず予約してからお越しください。

当ヒュッテは定員制です。相部屋が基本で個室ではありません。満室時の就寝スペースは一人一畳となります。

現在の食事の時間は夕食が17時30頃~19時終了、朝食は6時30分~7時30分終了となります。

また宿泊にあたっては、こちらのページもお読みください。
https://kitayoko.com/information

【お知らせ】

ピラタス蓼科ロープウェイの名称は「北八ヶ岳ロープウェイ」に変更となりました。

ロープウェイから茅野駅行きのバス便の最終時間に気をつけてください。繁盛期を除き15時5分が最終便となります。

【北八ヶ岳・北横岳ヒュッテ】

営業/通年(要予約、予約のない日は休館となります)

夏期料金(6月〜9月)
1泊2食付き 8000円
1泊夕食付き 6900円
素泊まり 4800円

春季・秋季料金(4月、5月、10月、11月)
夏期料金に対して400円増しとなります。

冬季料金(12月〜3月)
夏期料金に対して800円増しとなります。

収容/40人

ご予約・お問い合わせ
391-0002
長野県茅野市塚原2-17-26
島立健二
予約 090-7710-2889
現地 090-3140-9702